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【ZMOTについて詳しく解説】消費者は、来店前に購入品を決めている!

ZMOT」という言葉を知っていますか?

何となく聞いたことはあるけど、良く分かっていない…という方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、2011年に登場した「ZMOT」と、関連する「FMOT・SMOT・TMOT」も含めたマーケティング理論について解説していきます。

実際の事例も参考に、自社のマーケティングやプロモーションに役立てていきましょう!

そもそも、MOTとは?

ZMOTに含まれているMOT(Moment of Truth)とは、直訳すると「真実の瞬間」となりますが、つまりは顧客との接点ができる瞬間のこと。


この概念は、1990年に出版された1冊の本から生まれました。内容としては、「スカンジナビア航空を年間1000人が利用しており、ひとりの顧客が1回の利用につき平均5人の添乗員と15秒間接触していることが分かった。その15秒間の間に、競合他社よりも優れた体験をしてもらうことで、明確な差別化ができ、自社を選んでもらうことができる」というものでした。その15秒間の接点を、MOTと呼んだのです。

FMOT・SMOTの誕生

その後、2004年には、P&GがFMOT(First Moment of Truth=エフモット)とSMOT(Second Moment of  Truth=エスモット)を提唱します。


FMOTとは、消費者が店頭で商品を購入する際に、買うかどうかの判断を3~7秒で行う、ということ。

SMOTとは、購入後、商品を利用した際に、再度購入するかどうかを評価する、というものです。

ZMOTの誕生


そして2011年にGoogle社がZMOT(Zero Moment of Truth=ズィーモット)を提唱します。


PCやスマートフォン・タブレット端末が普及したことを受けて、消費者の購入意思決定方法も、それ以前とは大きく変わりました。Googleの調査では、アメリカ人の70%が、商品購入の前にネット上のレビューを確認しているという結果も出ています。「消費者は、webサイト上の情報やSNSの投稿を検索・閲覧することによって、店頭に赴く前に購入品を決める」という行動プロセスが確立されたのです。その行動プロセスのことをZMOTと呼んでいます。


例えば、何か新しい商品を買いたい!と思った時に、自分のスマートフォン上で商品のレビューを検索したり、SNS上での投稿を参考にして、購入する物を決めた経験はありませんか?

その行動こそ、ZMOTと呼ばれるものです。

TMOTの誕生

そして、近年になって登場したのがTMOT(Third Moment of Truth=ティーモット)です。

TMOTとは、消費者が、購入した商品やサービスのリピーターとなり、何度も使っていくうちに愛着が芽生え、愛用者になる瞬間のことです。

このように、ZMOTからTMOTを辿ることで現代の購買体験が形作られているのです。

現代の消費者のメンタルモデル

ここまで紹介した購買体験を時系列に置き換えてみると、

何かのきっかけ(刺激)→気になった商品やサービスをインターネット上で検索・購入する物を決める(ZMOT)→店頭で検討する(FMOT)→購入後、再度購入するかを判断する(SMOT)→何度も利用するうちに、愛用者となる(TMOT)

となります。


そして、TMOTの段階にいるユーザーが、商品やサービスについてのレビューをネット上に投稿し、それがきっかけとなり、新たな消費者に繋がっていくこともあります。

自社の商品のマーケティングやプロモーションを企画する際には、この一連の流れを意識しておくと、成功への近道となるでしょう。

事例で見る消費者行動

ここからは、実際のマーケティングやプロモーション手法から、消費者行動について見ていきましょう。

①ヤッホーブルーイング「よなよなエール」

https://yonayonaale.com/

クラフトビール「よなよなエール」シリーズなどを販売しているヤッホーブルーイングは、消費者行動の中でも特にZMOT・TMOTの部分に力を入れています。そして、同社の商品を指名買いしてくれるだけではなく、友人や知人に勧めてくれたり、ネット上に口コミを投稿してくれたりする層を「ファン」と呼び、大切にしています。


そのファンになる流れとしては、

・友人からもらう(きっかけ)

・店舗に置いてあった物を買う(FMOT)

ことで、気に入って繰り返し購入(SMOT)し、同社が運営するレストランに足を運び、FacebookやX(Twitter)アカウントをフォローしてもらう(ZMOT・TMOT)というものだそうです。


他にも、醸成場の見学ツアーや、数千人のファンが集まって楽しむイベント「超宴」を開催するなど、熱狂的なファン層を生み出す試みを多くしています。

https://yonasato.com/event/

そういったイベントに参加したファンの投稿や、公式アカウントの投稿を見ることで興味を惹かれて購入する新規層を生み出す(ZMOT)きっかけへも繋げていっている事例です。

(参考:https://japan.cnet.com/article/35136255/

②ワークマン「workman plus」

作業服を主に扱っているワークマンは、2018年に新業態である「workman plus」の展開を開始しました。取り扱う商品を、一般客向けに低価格で高機能・そしてデザイン性に優れたものに絞り、店内のレイアウトも刷新。第一号店をららぽーと立川立飛店にオープンすると、入場規制がかかるほどの大人気に。

その人気の理由の一つは、開発段階では想定されていなかった使われ方をされたSNSでの投稿が受け、一般層へのニーズが高まったため。

https://www.instagram.com/p/BiEOnsOAASf/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=dlfix
https://www.instagram.com/p/BmDRTKEFyG2/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=dlfix

元々はレストランなどの厨房向けに作られた滑りにくい靴が、妊婦の人にも最適!そして価格も安い!と話題になり、大ヒットしています。


他にも、作業服として開発されたレインスーツが、バイクユーザーの間で人気に火がついたりと、その勢いは止まりません。

使用しているユーザーの投稿がZMOTとなり、新規顧客の購入、そしてTMOTへと繋がって行った事例と言えるでしょう。

(参考:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00159/00002/ )

③H&M Japan「H&M MEMBER」

H&M Japanでは、2019年4月に会員プログラムの名称を変更し、ファン層拡大のために舵を切っています。例えば、海外で開催するファッションショーなどにファンを送り出し、その様子をSNSで発信してもらっています。

多くのファンを送り出すことは不可能なため、応募者の中から選定。SNSの通常投稿なども選考基準に入れながら選んでいるといいます。有名人ではなく、いちファンがそういったイベントに参加することで、本当に熱量の高い投稿が生まれ、また、それを目にした消費者が新たなファンになってくれる(ZMOT/TMOT)という構造が完成しているそうです。

(参考:https://japan.cnet.com/article/35136255/

まとめ

今回の記事では、消費者の購買行動モデルの一つ、ZMOTを中心に解説しました。

現代では、商品やサービスを利用してもらうために、インターネット上でのレビューや口コミが重要になっていることが分かりましたね。

そして、その口コミを醸成してくれるファン(TMOT)の存在を大切にすることで、新たな顧客獲得につながります。

消費者のメンタルモデルについて理解し、自社のマーケティングやプロモーション戦略に生かしましょう!